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怖がりで過敏な子どもたち

2024/05/02

こんな子いませんか?

  • 遊び場面で・・・・高いところを嫌う(ジャングルジムなど)ブランコを嫌う 砂場遊びを嫌う
  • 学習場面で・・・音楽が苦手 給食前になると不機嫌になる 工作が苦手で 粘土や絵具 糊を嫌がる
  • 人とのかかわり・・人混みを嫌う 他児がそばにくると逃げる 叩いてしまう
  • 生活・・・・爪切りや散髪、シャワーを嫌がる 特定の素材の衣類しか着ない 極端な偏食がある

「感覚過敏」とは?

脳が音・味・揺れ・肌触りなどの感覚刺激に対して、過度に「嫌!!!(拒否)」・「どんな感じだろう(不安)」「やらない(回避)」などの情動反応や行動を示す状態で、感覚刺激に対する適切な情緒的意味づけのプロセスに何らかの問題が生じていると考えられています。適切な感情的意味づけとは、その出来事の解釈のことなのですが、「感覚過敏」は、本来その時に感じるであろう「楽しい!」「またやりたい!」などの正しい感情の解釈になりにくく、その時の感覚的な不快感に感情が引っ張られてしまい「嫌」「やりたくない」「嫌い」などのネガティブな反応となってしまいがちなのです。また、このような状態は体調や慣れなどで変動するために、反応が一定しない場合もあり、体調が悪い・覚醒が高い時にはこのような「感覚過敏」の反応が出やすくなると言われています。

各感覚ごとの過敏な反応

触覚の過敏(触覚防衛)→ベタベタするもの、濡れているものなど特定の感触のモノを過度に嫌う傾向があります。
例)服が濡れるとすぐに着替えたがる。特定の衣類しか着ない。人がそばに近寄るのを嫌い、人を避ける

聴覚の過敏→人混みや大きな音、高い音を嫌う。
例)耳をふさぐ、自分自身で大声を出して嫌な音を消そうとする

視覚の過敏→光(蛍光灯、太陽光)色彩を嫌う
例)目を細めたり、目を覆う。目が痛いなどと表現することがある

前庭感覚の過敏(重力不安)→倒れる恐れがない場合にも、過度の情緒的反応を示す。
例)階段を降りるのが怖い→手すりを持ってゆっくり下る

感覚過敏に対する対応のコツ

無理に慣れさせようとは思わない(絶対的な安心、すぐ止められる中で行う)
→嫌がることを無理やり行わせる暴露療法は絶対に行わないでください。感情的な意味づけがさらに悪くなり、フラッシュバックなどが起こってしまう可能性があります。嫌いな感覚にチャレンジすることは良いですが、すぐ中止できる状況で行うのが無難です。ですので、怖がる子どもを一度乗ったら降りられないジェットコースターに乗せるのは、おすすめできません。

主体的な感覚体験(受け身でなく、自分が楽しくできる)の中で自分自身で刺激のコントロールができるようにすること
→お友達から触られるのは嫌がるのに自分からはベタベタと触ってくるお子さんはこのパターンに当てはまります。触られるのはどんな感覚が予測がつきませんが、自分から触れるのは予測がつくからです。

受け入れられるモノから丁寧に段階づけること(高さ、安定性、スピード、素材)
→嫌がったら直ぐにやめられる環境の中で、少しずつ段階を上げていくと良いです。

認知的側面での配慮も大切にし、知的な活動を含ませる
→感覚見通しや予測性を持たせ、感覚への構えを作っていきます。上述していますが、感じる感覚を予測して、その感覚を感じる準備をするイメージです。

感覚環境の調整やグッツを使用する
→不快反応を生じさせる嫌悪刺激や過剰や刺激を除去もしくは制限します。蛍光灯の光が眩しい場合は、目に優しいLEDに変えることを検討します。また、大きな音が苦手でしたら、イヤーマフをつけて聞こえる音を小さくします。本人の努力だけではなんとかならないことを説明し、教室等の環境を調整していくと良いでしょう。

嫌な刺激を無理やり感じさせる暴露療法は百害あって一利なしです。子どもが見通しを持って受け取れることができるだけの感覚の量を調整して、「できた!」を少しもずつ積み重ねたいですね。

文責 リニエシューレ 作業療法士 八重樫 貴之

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