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すぐキレやすいのはなぜ?感情はどうやってコントロールするの?

2023/08/19

武蔵野

こころを育む〜感情はどうやって育つの?どうしたらコントロールできるの?〜

すぐにカッとなって兄弟や友達と喧嘩してしまう、大人が注意しても言うことを聞かずにイライラしてしまう…
おとなも子どももどう感情をコントロールしたらいいのか分からない、といった悩みをよくお聞きします。
感情は、単純なようで複雑に作り上げられており、認知機能や社会性とも密接に関わっています。
今回は、この一見やっかいだけれども子どもの発達にはとても大切な『感情』について、ふれてみたいと思います。

感情とは・・・?

『感情』とは目に見えないもので、その時の気分によって一時的に生じるものと捉えられがちです。
子どもが、泣きながら怒って訴えるとき、つい大人もカッとなって怒鳴り返してはいませんか?

一時的にそうすることで抑えることができるかもしれませんが、感情は人にとって思考や意思決定を導く重要な役割を持っていますので、なぜその感情が生まれたのかしっかり向き合ってく必要があります。
そして、子どもにとって、感情の発達、感情を上手くコントロールすることはこれから社会性を獲得していく上でとても大切になってきます。

赤ちゃんには感情がある?感情の発達とは?

わたくしたち大人が今持っている感情は、生まれ持って備わっているものなのでしょうか?
実は感情も体や言葉の発達と同じように、環境や周囲の人との関わりのなかで相互に影響して発達していきます。

では、生まれたばかりの赤ちゃんにはどんな感情があるのでしょうか?

感情は、『喜び』『悲しみ』『怒り』『驚き』『嫌悪』『恐れ』といった感情が基盤となっていますが、この感情全てが赤ちゃんに備わっているわけではありません。

・新生児は、『快』『不快』といった2つの感情に分かれます。

たとえば、お腹が空いた時は泣いて『不快』を訴え、お母さんに抱っこしてもらいお乳を飲ませてもらうことで落ち着くようになります。

・6ヶ月頃になると自我と個性が発達し始め、基本的な6つの基本感情、『喜び』『悲しみ』『怒り』『驚き』『嫌悪』『恐れ』が成立していきます

たとえば、基本的な要求にお母さんが応えてくれないと不満に感じて泣くという行為がおこります。他には、周りのものに興味をもって触って、変化が生じると、『驚き』という感情が生まれます。

・1歳頃には、言葉が発達して情動表出によって感情を伝えることは徐々に少なくなってきます。

親の表情をよく見て状況を判断するようになり、怖いことがあると親のもとにいってぎゅっと抱きしめられることで安心感を得たりします。

・2〜3歳頃には、徐々に感情をコントロールすることを学んでいきます。

この頃は、悲しい・楽しいといった自分の気持ちと、原因となった出来事を結びつけて考えられるようになり、感情をコントロールでき始めます。
同時に、『誇り』『恥』『罪悪感』といったより複雑な感情が芽生えてきます。

・4・5歳児になると、相手の気持ちを理解できるようになります。

さらに言語が発達することによって、自分の気持ちを相手に伝えることができるようになり、園での集団生活でお友達とのケンカや仲直りなどを通して感情の抑制も含めたコントロールを学んでいきます。
このように、生まれたばかりの赤ちゃんの感情は未分化なものでありますが、成長とともに分化されて、『個人の感情』として発達していきます。

感情を上手くコントロールするには?

・子どもの気持ちをくみ取ってこどもの気持ちを代弁する。

感情は脳の扁桃体と言う部分が発火点になっています。
扁桃体は快・不快の源ですので、恐怖や自分の嫌なことを感じると、まず発汗や心拍数などの体の変化とともに感情が出てきます。一方で、その症状を抑える機能も脳にはあります。
例えば、『Aちゃんは僕が〜したから怒ったんだ』という論理的な思考で抑えられます。しかし、就学前や低学年のこどもは、この論理的思考はまだ備わっていません。ですので、まずは興奮したら時間を一度置いて、大人がこどもの気持ちを聞き、一緒になってどうしたらよいのか考えるなど接し方を工夫することが必要です。

・感情を育むにはまず認知機能を育てること。

感情が生まれる前には、かならず『認知』が行われています。
赤ちゃんは、生後2〜3ヶ月から大人の表情を見て模倣します。
そのあとも、大人や周りの子どもと見たり、聞いたり、コミュニケーションをとりながら認知とともに感情が育っていきます。

この認知は、視覚や聴覚の情報、記憶、推論するなど様々な機能が基盤にありますが、この認知機能に問題があると、すぐに『キレる』といった感情表出につながることもあります。これは、相手の表情をしっかりと見ないまま、相手が怒っていると勘違いしてしまう、相手の気持ちを推し量ることができないまま手が出てしまう、などが起こることがあります。
また、感情はその後の記憶などの認知処理過程に影響を及ぼすとされています。
例えば、楽しい出来事は楽しい気分の時に、悲しい出来事は悲しい気分の時に記憶を再生(思い出す)しやすくなります。

子どもの特性を理解する

感情のコントロールは、年齢によっても差がありますが、もちろん個人差もあります。
個人差というのは、2つの側面があります。
一つ目に、パーソナリテイ、つまりは性格です。
性格は、遺伝要素もありますが、環境にも影響されます。
感情豊かだけど、すぐにカッとなってしまう子、自分の感情を抑えすぎてしまう子、過度に神経質になってしまう子…感情の表し方は子どもによって様々です。

二つ目に、感覚に過敏なお子さんです。特に自閉症スペクトラムやADHDのお子様は、周りの音などに敏感でイライラしやすくなって感情をコントロールできない場合があります。また、言葉の発達が遅いお子さんの場合、うまく感情を表現できないこともあります。

その時は、静かな場所で顔の表情カードなどのツールを用いて、自分の感情を相手に伝える場面を作ってあげましょう。
このように感情は単純な様で、とても複雑に作り上げられています。お友達や大人との関わり、子どもの経験なしでは成立してこなかったのです。

感情豊かな人の方がコミュニケーションスキルにおいて共感する能力に優れているとも言われています。

これからは子どもの感情に丁寧に向き合い、『喜び』『悲しみ』『怒り』『驚き』『嫌悪』『恐れ』だけではなく、例えば一生懸命頑張ったのに、試合に負けて『悔しい』、家族と一緒に過ごせて『幸せ』、好きな子に自分の気持ちを知られて『恥ずかしい』、あの子は自分より成績が良くて『羨ましい』、など

子どもは経験とともにどんどん感情が育まれていきます。日々の経験を通して新たな感情が芽生えること、つまりは感情の発達そのものが『感情のコントロール』を育んでいるのかもしれません。

文責 リニエシューレ 作業療法士 竹中佐江子

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